ちいさな森

ぶよっこりーの頭の中

法務2級の受験対策~失敗談と合格体験記(元同僚より寄稿)

以前働いていた銀行の同僚から「記事を寄稿したい!」と熱く語られたので、今回は法務2級の受験体験記をお送りします。

 

 

銀行に勤めている人なら1度は考える、法務2級の受験について。

初受験で不合格、2度目の挑戦で合格点+10点程度獲得で無事合格できました。これから受験を考えている人へ、参考になれば幸いです。  

 

【法務2級とは】

(~概要というか簡単に定義を説明~) 銀行業界にいない人には縁もゆかりもなければ必要性も皆無という誰得な資格(強いて挙げれば検定実施団体が受験料という名のお布施を集める方便)です。 それを知ってか知らずか、一部金融機関ではこの資格が出世するための必須条件や人事評価の加点材料になるため、好むと好まざるとにかかわらず、銀行員はこの資格に挑む割合が多いです。  

 

【受験動機】

上司「キミもそろそろ法務2級くらい受けたらどうだね?え?」と煽られたので。 人事評価者には逆らえず…  

 

 

【試験の概要】

三択問題10問。それぞれの選択肢に関して正誤の理由を条文、判例を元に記述。 配点は三択2点、記述部分8点で1問10点×10問。合格基準は100点中50点。

 

時間:180分。

持ち込み:金融取引小六法(民法を中心に金融実務に関する法律、判例が載っている。1250ページくらいの分厚さ)が持ち込み可。書き込み、貼込み等があるものは使用不可。傍線などの書込みやインデックスの貼込みは可能。

 

直近の合格率:2018年10月28日実施 第141回銀行業務検定試験 

法務2級   受験者数:4,771名(前年-700名) 合格者数:1,055名 合格率:22.11%(前年28.24%)

2018年10月28日(日)実施検定試験の結果(記述式)をお知らせいたします | 経済法令オフィシャルブログ

 

 

いかがでしょうか。

 

「50点でいいの?」

「持ち込み可なら3択はほぼいけるよな…じゃああとは記述8点中3点×10問とか、6点×5問で合格じゃん」

「10問に3時間?そんな時間かかる?」

 

こんな思いを抱いた人もいるかもしれません。まあ全部僕が最初に思った事ですが。

 

基本的に2か月ほど前から過去問集を通読し、試験に臨みました。今にして思えば、合格率の低さや、記述の回答例が1000文字超えてる時点でもっと対策を練るべきでした。  

 

【そして期待は裏切られる】

試験当日。作戦はこうでした。

 

①すべての問題に目を通す。
②確実に記述できそうな問題から時間をかけて書き切る。
③部分点狙いで少しでも書けそうなことを書く。

 

 

全ての問題に目を通した結果、半分くらいは書けそうな気がしました。また、幸いにも問1が過去問と同様の問題で、「問1は満点採れる!」と思い、六法をめくり、条文、判例を探し、解答例に倣って1000文字近い答案を作成しました。  

 

・・・ただね、おかしいとは思ったんですよ。 解答用紙の記述欄が明らかに1000文字書かせるようなスペースがなかったんです。 結果、回答欄に収まりきらなかった僕の問1の回答は、欄をはみ出し、裏面を半分以上埋め尽くしてようやく終わりました。

 

  「よし、あと9問!どれくらいかかったかな…」  

 

腕時計を見てわが目を疑いました。

 

試験開始は13時30分。僕の腕時計も会場の時計も、確かにその時間を指していました。

 

なのに…   「14時30分…だと…」  

 

 

ここで気づいたんです。解答例の通りに記述してはいけないことに。 でももう後には引けませんでした。   あと2問、解答例に近い答案を作れそうな問題がありました。仮に3択を全問正解し、記述3問が満点でも、満点だとしても、合格には6点足りない。 それでもできるだけのことをやるしかない。

 

解答例に近い答案を2問、これも裏面を埋め尽くす勢いで書き殴り、残り時間は20分を切っていました。 あとは部分点が取れそうなところを探すため、問題用紙をめくり、六法をめくり… 1~2か所、短い文章を記載したところで試験終了となりました。

 

結果、解答例に近い答案は3問中2問で10点満点でしたが、4点ほど足りずに不合格でした。  

 

 

【反省点と改善策】

①時間配分
②六法の使い方
③全体的に知識不足。  

この3点に尽きます。

 

試験が終わった時点で、落ちたと思ったため、以下の改善策を作りながら4カ月ほど勉強を続けた結果、合格しました。  

 

①については、上でも書いたように、3時間で10問を解く試験です。しかし、手順として、 問題を読み、 六法をめくり、 条文と判例を探し、 問題用紙にメモをしながら解答文を組み立て、 手書きで記入する といったことが必要となります。 3択問題は上記プロセスの中で答えが導き出されるため除外しても、1問にかけられる時間は18分。選択肢1つにかけられる時間は6分です。 けっこうシビアでした。

 

なぜ受験前にそれを計算しなかったのか…。 試しに改めて解答例を見ながら、六法をめくり、条文、判例を確認しながら丸写ししても20分程度かかりました。 そこで対策として、 ”点数に繋がりそうな条文、判例をいかに文字数少なく殴り書きできるか”を意識しました。

 

もともと字がキレイな方ではありませんが、何せ時間との勝負です。6分で書ける文字数の内容しか書けない、読めれば点はくれるだろうという開き直りのもと、解答例を要約して書きなぐる練習を何回かしました。  

 

 

②については問題集に過去問10回分がついていたため、まず一通り読み、併せて六法も確認し、蛍光ペンを引いていました。持ち込み可のため、ペンを引いたページに付箋をつけていけば、試験対策は完璧だと思っていました。 結果、付箋が増えすぎて、何が何だかわからなくなってしまい、すべて外してしまいました。 金融取引小六法を購入した際に付属のインデックス(民法など、主要な法令のもの)がついており、それは残しておきました。

 

あとは過去複数回出題されたテーマを中心に、「こういう問題が出たらこの条文とこの判例」というのを頭に叩き込みました。1度目の受験対策で、1度でも出題された条文、判例にはラインが入っていたので、パラパラめくりながらラインが引かれたところを眺めてみたり、とにかく小六法を使い慣れるように取り組みました。  

 

③については、法務2級に限った話ではありませんが、「過去問で出たことがなく、今回初めて出題される問題」が出ることがあります。過去問のみで勉強した場合、この手の問題には太刀打ちできません。記述試験ならなおさらです。 そこで、経済法令研究会に追加でお布施することにしました。 そう、公式テキストの購入です。 1度目の受験対策は過去問を読むだけでしたが、2度目はテキストを周回して読むことで、出題範囲全般について知識をつけていくようにしました。

 

なお、公式テキストは分野ごとに細かく分かれて記載されており、基本問題、応用問題とその解答例までついているので、正直過去問集よりテキストだけで勉強した方がよかったかもっていうレベルでした。こっちの解答例は試験本番の解答用紙に合わせて作られているかのような文字数で、同じ会社が作っているくせに何でこんなことをするんだ、ちくしょうと思ったのは言うまでもありません。  

 

 

【これから受験する人へ】

試験の形式が大きく変わらないという前提で個人的な見解を述べます。

 

勉強方法は、小六法と公式テキストを買い、テキストに沿って小六法を参照しながら通読する。

 

これしかないように思います。 また、六法から必要な条文、判例を探して記入するスピードがどのくらいなのかを把握することも重要です。 意外と盲点?かもしれませんが、試験時間中ひたすら解答を書き続ける必要があるため、手が疲れます。普段手書きすることがないとなおさらです。

 

解答例を書き移す、自分で問題を解くなど、3時間文字を書き続けることが出来るように慣れておきましょう。手に馴染むボールペン選びも重要かもしれません。    

 

小六法は法学部出身でないと、条文や判例を見慣れないためなかなかなじめないかもしれませんが、繰り返し見ることで慣れるしかありません。試験当日はこれが頼りです。 あとは、試験本番ではまずすべての問題に目を通し、時間配分を決めましょう。 どんなに完璧な解答を作っても、1問10点以上は取れません。1問にあまり時間をかけ過ぎず、かつ得点に結びつきそうな要素を出来る限り詰め込んで、さっさと次の問題に移りましょう。

 

問題が解けそうになくても、例えば相続の問題であれば関係しそうな条文を書くだけでも2点くらいもらえるかもしれません。僕がそうでした。 また、電子記録債権のように条文のボリュームが少ないところは、比較的得点源となる要素を探しやすいため、なじみがなくてもとりあえず条文、判例を探してみると回答を書けたりします。

 

 

諦めず、時間を区切り、書き殴る。

みなさんの健闘を祈ります。

 

 

 

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以上が寄稿記事です。Mさん、ありがとうございます。

銀行というのは、とかく資格勉強が多く、「勉強は比較的好き」という私でもうんざりしていたものです・・・。

法務2級を受けられる方は頑張ってください。